C4Sプロジェクト概要とご挨拶

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C4S 研究開発プロジェクトマネージャー挨拶

Noguchi Takafumi

2050年にカーボンニュートラル社会を実現し、産業革命以降における地球の平均気温の上昇量を2℃より十分低く抑えることが、現在、全世界・全産業の至上命題となっています。
建設業界とて例外ではなく、むしろその主役を担うことが期待されているのです。
コンクリートは、我々の活動を支える建築物・土木構造物には必須の建設材料ですが、その主要原料であるセメントの生産に際して、有限な天然資源である石灰石を大量に使用するとともに、温室効果ガスであるCO2を大量に排出しています。
石灰石の可採年数は約100年しかなく、世界全体で毎年排出される約330億トンのCO2の約7%がセメント生産によるものです。
このようなセメント・コンクリートにおける資源枯渇およびCO2排出の問題を根本的に解決するために、本プロジェクトでは、建築物・土木構造物として蓄積されてきたコンクリート中のCaをCO2吸収可能な潜在的未利用資源とみなし、建築物・土木構造物の解体によって発生するコンクリート廃材と大気中のCO2とを炭酸カルシウムコンクリート(CCC: Calcium Carbonate Concrete)として再生する技術を開発しています。

そして、CCCを従来のコンクリートに替わる主要建設材料として実用化することで、新たな資源循環体系(C4S: Calcium Carbonate Circulation System for Construction)を実現します。すなわち、数億年前にヒマラヤ山脈やアルプス山脈が盛り上がった際に、膨大なCO2が石灰岩となって取り込まれ、その結果、地球の気温が下がったとも言われており、本プロジェクトではその再現を目指しています。
C4Sの実現により、世界各地に大量に存在するコンクリートは、CCCとして甦ります。CCCは、低エネルギーで何回でも繰り返し再生利用できますので、木材と同様にカーボンニュートラルで完全にリサイクル可能な建設材料として、末永く人類の活動を支え続けていくでしょう。
その結果、地球温暖化は大きく抑制されるとともに貴重な天然資源は保全されることとなり、地球環境の再生が根本的に図られることが期待されます。
我々は、CCCを2030年に社会実装することを目標に、研究開発を鋭意進めています。
技術開発だけでなく、規格の制定や法制度の改革、サプライチェーンの整備など、山積した課題を一つずつ解決していく予定であり、皆様のご協力・ご支援を賜れれば真に幸いに存じます。

石灰石の可採年数
 
石灰石の可採年数グラフ

世界全体で毎年排出されるCO2
 
排出されるCO2グラフ

CCC製造のプロセス・社会実装の概念 

CCC製造プロジェクト

C4S研究開発プロジェクト概要

 
本プロジェクトでは、薄く大気中に広がって存在しているCO2、および世界各地に存在している構造物の解体によって発生するコンクリート廃棄物を建設資源とみなし、それらと水のみを用いて、何度でもリサイクル可能でカーボンニュートラルとなる次世代のコンクリート、すなわちカルシウムカーボネートコンクリート(CCC)に関わる様々な研究開発を行っています。本プロジェクトの現在の研究開発内容は、次の3つに分類されます。

 
 密接状態のコンクリート廃棄物粒子(CCC用骨材)の間に炭酸水素カルシウム溶液を流し、各種制御によって炭酸カルシウム結晶を析出させ、コンクリート廃棄物粒子同士を結合させてCCCとする原理の究明、および製造技術の開発

 
最適な粒度分布・炭酸化率を有するCCC用骨材を製造するためのコンクリート廃棄物の効率的な破砕方法およびCO2吸収固定化方法の開発

 
 CCCの社会実装に向けた様々な課題の検討(CCCの各種性能の評価、CCC構造物の設計手法の開発、CCC構造物に必要となる法令・規格の整備、C4Sにおける最適な資源循環シナリオの構築、およびC4SにおけるLCCO2削減効果の分析)

C4S 研究開発プロジェクト達成目標

 
PROJECTⅠⅡⅢの研究開発を行うことによって、2023年2月までに従来のコンクリートと同等以上の性能を有するCCCを低エネルギーで製造できることを、2025年までにCCCを用いて模擬構造物が建設できることを、2030年までにCCCを用いて低層建築物を建設できることを実証し、2050年には日本の半数のコンクリート構造物がCCCによって建設される状態となることを目指しています。

C4S達成目標
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